2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧
遠足の小学生徒有頂天に大手ふりふり往来とほる 木下利玄(きのした・りげん 1886〜1925)の歌というと、国語の教科書にもよく載っている「牡丹花(ぼたんか)は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置のたしかさ」がもっとも有名かもしれない。利玄といえば…
皿 黄色い菫が咲く頃の昔、海豚は天にも海にも頭をもたげ、尖つた船には花が飾られディオニソスは夢みつゝ航海する模様のある皿の中で顔を洗つて宝石商人と一緒に地中海を渡つたその少年の名は忘れられた。麗な忘却の朝。 〈原典ルビ〉菫=すみれ 海豚=いるか…
天気 (覆された宝石)のやうな朝何人か戸口にて誰かとさゝ やくそれは神の生誕の日。 旧友が、西脇順三郎が大好きなので、この「詩歌の森へ」で取り上げてくれと言う。 以前にも、「コラ書」というのをやっていたころ、写真を送ってきて、これに「天気」と…
バスを待ち大路の春をうたがはず どこにも陰のない、作品全体が幸福感に満たされている詩歌作品というのは、案外少ないものだ。まるで、詩歌というのは、悲しみ、苦しみを糧として生まれてくるかのように。 そんなことを考えていたとき、ふとこの句が思い浮…
2025.9.8 春の日の夕暮 トタンがセンベイ食べて春の日の夕暮は穏やかですアンダースローされた灰が蒼ざめて春の日の夕暮は静かです吁(ああ)! 案山子はないか──あるまい馬嘶(いなな)くか──嘶きもしまいただ月の光のヌメランとするまゝに従順なのは 春の…
2025.9.8 コンブレーでは毎日、午後の終わりになると、ベッドに入って眠れないまま母や祖母と離れてすごさなくてはならない時刻にはまだずいぶん間があるというのに、早くも寝室のことが心にとり憑き、辛い想いをする。私がひどく悲しげな顔をしているタべに…
夜半に、門をたたく音がするので、出てみると、友人が鮎を持って立っている。たくさん釣れたからやるよといって、鮎を手渡し、まあ、中に入って一杯やらないかなんて誘ったけど、さっさと帰っていってしまった。 そんな内容だ。このさりげなさがいい。久しぶ…
半紙 山居秋暝 (さんきょのしゅうめい) 王維 空山新雨後 天氣晚來秋。明月松間照 清泉石上流。竹喧歸浣女 蓮動下漁舟。隨意春芳歇 王孫自可留。 【書き下し文】 山居の秋暝 空山新雨の後、天氣晚來(ばんらい)秋なり。明月松間(しょうかん)に照り、清泉…
あと一ヶ月ほどで終了する朝ドラ『あんぱん』だが、最近になって、そうか、そうだったのか、と思うことが多くなった。 柳井嵩(「やなせたかし」がモデル)が、ファンの女の子(これがこのドラマの脚本を書いている中園ミホだそうだ)に、その子の似顔絵を渡…